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「高時給」「短時間労働」の4つのメリットとは? 働き方改革の先駆者が語る。

希代の経営者・小山昇が語る「パート社員・戦力化」の要諦 第1回

4つのメリットの理由とは?

①「能力が高い人」を採用できる

 武蔵野は、非正規雇用のスタッフにも、職務内容・勤務時間帯・職責に応じた給与を払っているため、優秀なパートが集まっています。

 能力が低い人を雇って、仕事が長引き残業代を払うよりも、時給が高くても能力が高い人を雇ったほうが生産性は上がります。

②優秀な人が辞めない

 パートの給与は、時給制です。ですが、一般的な会社のように、「一律給与を基本として、勤続期間に応じて昇給させる」わけではありません。

 給与水準が一律だと、優秀なパートは、「私はあの人よりも大変な仕事をしているのに、時給が一緒なのは不公平だ。納得できない」と不満を抱え、辞めます。

 そこでわが社では、困難な仕事や専門性が要求される仕事をしている人と、補助的な簡易労働をしている人とでは、昇給幅(時給)に差をつけます。だから、優秀な人が辞めません。「仕事ができる人は稼ぐことができて、仕事ができない人は稼げない」が私の考え方です。人が辞めると、新たなパート採用に募集費用がかかります。また、新人パートを一から教育すると、教育・研修費が余計にかかります。

 時給を高くしても、人が辞めなければ、採用コストや引き継ぎによる機会損失を防ぐことができます。

③残業(残業代)が減る

 武蔵野は、「不要な残業を減らす」方向で業務改善を進めています。

 残業50時間以内の基準を満たしたパートは、賞与を200%(2倍)にする決まりです。

 勤務時間が減ると、「時給」として受け取る額は減るが、その代わり、「賞与」が増えるので、結果的には年収(年間総可処分所得)が上がります。

 時給を高くすると人件費がかさむと思いがちですが、わが社は、逆です。

 残業改革前と比較し、たった2年強で、社員換算で「1億円」、パート・アルバイトも含めると「1億5000万円」の人件費削減に成功しています。そして、残業削減によって増えた利益はパートに還元するため賞与増額の原資に充てています。

④パートが子育てに時間を使える

「子育てが終わるまでは、家庭(子ども)最優先」が私の基本的な考え方です。子どもが帰ってくる時間は、家にいてあげるのが「母親の理想」と思っています。

 高い時給で短く働いてもらえば、子育てに使える時間が増えるから、家庭を犠牲にすることがありません。

<『儲かりたいならパート社員を武器にしなさい』(ベスト新書)をもとに構成>

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小山 昇

こやま のぼる

株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業後、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任し、現在に至る。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を毎年増収増益の優良企業に育て、日本で初めて「日本経営品質賞」を2度受賞。著書に『強い会社の教科書』『残業ゼロがすべてを解決する』(ともにダイヤモンド社)など多数ある。


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